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株式会社ゴードル

アメリカ不動産市場の振り返りと今後の動向 ~まずは振り返り~

更新日:2023年6月8日



今回から3回の連載で、​米国不動産市場について、まずは振り返りをした後に、今後(2023年)にどう動くか、下がるのか上がるのか、当社の考えを解説します。


​​簡単​な振り返り

​​​​​​​​​​​​​​​​​ まず簡単な振り返りですが、コロナ禍から、それが収束し始めた2022年中盤まで、米国不動産市場は記録的な上昇を続けました。S&P社が算出するアメリカの代表的な住宅価格指数であるケース・シラー住宅価格指数は、2021年には前年比で18.8%上昇し過去最高の値を記録しました。2022年も前半までは多くの不動産セクターで上昇が続き、2022年秋頃からようやく市場は調整局面に突入しました。 21年から22年にかけて住宅価格がここまで大幅に上昇した最大の背景は、FRBの金融緩和策による歴史的な低金利です。アメリカの金融機関Freddie Mac(連邦住宅抵当貸付公社)が好評する30年固定住宅ローン金利は21年中​​はほとんど2%台を推移、22年の2月時点でもまだ3%前後の低水準でした。低金利であれば、もちろん買う人が増え、住宅価格は上がります。これに加えて新型コロナウイルスの流行などにより20年以降はあらゆる物資の国際流通が滞り、輸送コストは大きく上昇しました。ウッドショックという言葉が一時よく報道されておりましたが、木材や建材価格も急騰​しました。​​ ​上記の​需給両面の背景で米国の住宅市場は20年から22年中旬まで歴史的な急上昇を続けたわけです。事実、低金利中のアメリカでの中古住宅の売買は、リストされてから(売りに出されてから)成約するまでの日数は極端に短く、最終的に売値よりも高い価格で成約されるケースばかりで、異常なマーケットだったと振り返る現地ブローカーが多いです。

​2022年後半のアメリカ不動産市況

しかし、皆さんおご存じの通り2022年以降、インフレ抑制のためアメリカでは急速な利上げが敢行されたことにより、上述したFreddie Macの30年固定住宅ローン金利は反転。22年頭には3%前後だった同金利は22年9月には6%を超え、アメリカの住宅市場は急速に冷え込んで急落するだろう、との見方が強くなりました。一方、新築住宅の建設は23年の1月に再び減少していたことが発表され、これで5カ月連続の減少となり新築住宅在庫の逼迫に拍車がかかりました。日本と異なり需給調整がされ供給過多になりにくいアメリカの不動産市場ですが、全体の2割程を占める新築住宅については供給不足がさらに深刻化しているということです。在庫が少なければ当然、価格は大きく下落することはなく、新築住宅価格は未だ高値圏を推移しているエリアが多いです。


また、先の米住宅ローン金利は22年末から大きく下落を始めました。これはアメリカの利上げペースがやや緩やかになったためです。一時7%前後まで伸長した30年固定住宅ローン金利は、23年2月10日時点、6%前後まで落ち着きました。

アメリカの住宅ローン金利の推移

出典:Freddie Mac「Primary Mortgage Market Survey 」

アメリカ不動産市況は​今後どう動くか

以上が簡単な振り返りですが、前半に書いた22年上旬までの上昇の背景はわかりやすいものですが、住宅ローン金利が上昇を始めて以降は、また米国住宅市場が下落をはじめて以降は、いきなり不透明になった点をお分かり頂けたかと思います。現に、直近の想定よりも悪くない雇用統計や物価指数を踏まえて、引き続きFRBは金融引き締めのペースを緩めないだろう、という観測が生まれ、その場合はさらに米国住宅市場は下落するだろうという見方も増え始めました。一方で米金利がさらに上がれば(日銀は上げるにしても大きくは金利を上げられないため)円安が再び進みかねません​ので、日本投資家の目線では金利上昇が為替にも作用する点を加味する必要があります。​ このように、米国不動産市場は不透明感を増し、悲観的な意見、楽観的な意見が混在しています。そんな中でこそ、海外投資家が中長期の目線に立って、米金利より低い金利を活かしたバーゲンパワーを使って利益を最大化し得る方法があると当社は考えています。不動産投資なので、中長期で考えなければ意味がありませんが(中長期で考えたときにアメリカの国力が日本よりも低下し経済が低迷を続けるとは考えられません)、あえて2023年中の短期で考えたときの市場予想を次回、説明します。

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