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アメリカ不動産市場の特徴③ ~中古住宅割合の高さが成熟したマーケットの基盤をつくる~

更新日:2023年6月8日


今回は、連載「アメリカ不動産市場の特徴」の最終回、「中古住宅割合の高さが成熟したマーケットの基盤をつくる」についてです。


※当初のサブタイトルからやや変わっておりますが、内容は元々意図していた内容です、ご了承ください。

まず最初にデータから。やや古いデータですが、2017年時点、日本の住居用不動産の流通量のうち中古物件がしめる割合は2割以下、一方アメリカ不動産市場における中古物件の流通量は全体の8割以上と、新築 vs 中古の流通量の全体に占める割合はアメリカと日本で全く逆です。


中古物件の割合が高さは投資家にとって何を意味するか


本連載の第1弾、第2弾でもご説明した透明性や分業化の進んだ仕組みに続いて、アメリカ不動産市場における中古物件の割合の高さは、日本を含む海外投資家やアメリカ国内の投資家によるアメリカ不動産投資を活発化させます。中古不動産はコモディティ化され、マーケットの厚みがあるために出口戦略・売却戦略が立てやすくなります


後述する通り、アメリカの中古不動産は値上がりが当たり前、と考えられていますが、この考え方の基盤にはアメリカの中古住宅の量、市場における取引量の厚みがあります。これがなければ、そもそも値上がりして当然の商品も、売買が盛んに行われることがなくなり、値上がりが自明ではなくなります。

なぜアメリカでは住宅流通量における中古物件の割合が高いのか


主に3つの背景があります。


1.アメリカでは不動産開発の難易度が高い


ゾーニングと呼ばれる、州や群などの行政が布くエリアごとの開発計画・用途規制があります。住居エリアには商業施設は立てられず、リゾートエリアには住居が立てられず、といったエリアごとの用途規制や許可制度があり、これに従って不動産の開発が長い時間をかけて行われます。日本のように、ここに家もお店も構えてしまおう、ということは非常に難しいケースが多いです。アメリカでの不動産開発は住居であってもその難易度が非常に高いのです。


このゾーニングの背景はいくつかありますが、代表的なものとして、住宅を含めた不動産の需給バランスを調整する目的があります。たくさん家を建てられるようになってしまったら、新築が増え、住宅の供給量が増え、住宅市場全体の市況も下がります。エリアや時代にもよりますが、人口増加率にあわせて、常にマーケットが崩壊することがないように(≒需要と供給のバランスが崩れることのないように)当局が調整をしている、ということになります。


2. アメリカの国民性


アメリカ人は、古い家であるということを日本人ほど気にしない人が多いことに加え、DIY文化が根付いています。自分の家は自分で修繕したりリフォームをする人が多いです。エリアにもよりますが、地震を含めた災害の少なさによりシンプルなつくりの木造住宅が多いこともこのアメリカ人の住居に対する考え方の素地になっています。


3. 引っ越しが多い


アメリカ人には夢のマイホームという考え方がなく、一つの家に定住しないことが多いです。アメリカ人は人生のうちに平均して6回以上は引っ越しをする、というデータがあります。それほど、何度も家をかえて、より良い家に住み、住む場所や職場も変え、というライフプランが一般的です。これはもちろん、アメリカの企業文化や雇用制度も影響しています。日本のように終身雇用が前提ではない会社が多い中、一つの家にしか住まなければ、新しい就職先や職業の機会もエリアに縛られてしまいます。中古不動産の価格が、家をかえる度に下落されては、損ばかり発生して、とてもやっていけないわけです。



以上の背景で、アメリカ住宅の価格は値上がりが前提であり、そしてその流通量の全体に占める中古住宅の割合が非常に多いことがご理解いただけたかと思います。


これまでの3回の連載で、アメリカ不動産投資における基本的な考え方、特におさえていただきたい考え方をご説明しました。アメリカ不動産あるいはアメリカ不動産市場は、透明性が高く、安心できる仕組みが整備されている上に、投資商品としての魅力も十分に兼ね備えています。日本の不動産市場や不動産投資の仕組みとは全く異なりますので、これを日本の不動産の商習慣にあてはめず、志を持った信頼できる会社やエージェントと組んで投資を検討されることをお勧め致します


以上、連載「アメリカ不動産市場の特徴」でした。

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