先日、一般社団法人 海外財産を守る会さんのセミナーに登壇し、アメリカの不動産市況の予測やアメリカ不動産の売却戦略について解説してきました。このセミナーの後半はベリーベスト法律事務所の米国弁護士・タイタノ誠氏によるアメリカ不動産投資における源泉税の留意点を解説頂き、非居住者が米国不動産を売却する際に課されるFIRPTA (Foreign Investment in Real Property Act) についてこのブログでも解説します。
アメリカ不動産を売却する時の源泉税
FIRPTAはその正式名称の通り、アメリカにとっての外国人がアメリカ不動産を売却する際に課される源泉税の通称で、税率は基本15%、売却益ではなく売却額に対して源泉される税金です。この、売却額に対して、というところが肝です。
このFIRPTAは、あくまで一度源泉され、あとで還付を申請、還付を受け取る事ができるものではるものの、一時的であってもそんな多額を源泉されてしまう事は運転資金の確保という観点では避けたいことです。
例えば売却金額が100万ドルで、実際の納税額が8千ドルでも、まず最初に15万ドルが源泉されます。
FIRPTAが免除される2つのケース
なお、以下の2つのケースでは、FIRPTAの源泉が免除される可能性があります。
売却金額が30万ドル以下、かつ、買い手が主な住居として使用する場合
源泉証書 (Withholding Certificate) がIRSから発行された場合
このうち、1は物件条件次第ですので、2の源泉証書について簡単に解説します。
源泉証書の発行には、まずアメリカの納税者番号(個人の場合はITIN)の取得が必要です。ITINはForm W-7で申請しますが、アメリカで不動産賃貸経営をされていて、賃料を受け取り、この確定申告をアメリカで毎年されている方は既に保有されている方は多いかと思います。
この納税者番号を取得した上で、源泉証書の申請を、売却のクロージングの日迄に必ず行う必要があります。IRS=内国歳入庁に実際のキャピタルゲイン税額等を伝え、FIRPTAによる源泉を免除するように申請するわけです。
もちろん、エスクローが既にFIRPTA源泉税を納付してしまっている場合などは、FIRPTAの免除が認められたとしてもこれを直ぐに取り戻す事は難しくなりますので、売却される際ははやめにこの免除申請、源泉証書の申請を行うことをお勧めします。なお、エスクローに源泉証書の申請をしていることを必ず伝えるようにする事も大切です。このことでエスクローはFIRPTAの源泉を納付しないでおく措置を取り得る為です。
アメリカ不動産投資で失敗しないために
なお、この源泉証書の申請や、エスクローとのやり取りなどは全て、当社経由で当社が提携しているUSCPA (アメリカ公認会計士)などと連携し手続きが可能ですのでお困りのことがあれば是非お問い合わせください。ここまで書きましたが、外だししてしまえばそんなに複雑なことではありませんので、こういったことを細かく対応してくれる専門家を抱えておけば全く問題ありません。
以上、今回はアメリカ不動産の売却時に発生する源泉税、FIRPTAにについてのご説明でした。
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